中国新憲法

1970年11月、国府筋が入手して発表した中国新憲法草案では全文は四章三十条からなり、現行憲法に比べて極めて簡単になっていました。草案の中でもっとも目を引いたのは、国家主席の廃止、元首と後継者の明記、革命委員会の常設機関化の三点でした。国家主席は、法律、政令の公布、首相を始めとする閣僚の任免、対外的に中国の代表・国防委員会の主席を兼任、最高国務会議の議長として会議の招集など多大な権限を持っていたものでしたが、文化大革命によって劉少奇が失脚し、副主席の童必武、宋慶齢が職務を代行していました。新憲法草案では毛沢東を元首、林彪を副主席、後継者として明記し、上記のすべての権限をこの二人に与えていました。また国家主席の廃止と国務院をもって中央政府を代表せしめるとの規定で、行政面では周恩来首相の権限が増大するものと考えられました。革命委員会については、地方の各級革命委員会を各級人民代表大会の常設機関とし、革命委員会の長期性と合化を確定すると規定されました。この新憲法草案は先の中国共産党中央委員会において修正可決されましたが、その際配布された草案はその後、林彪失脚により回収改正されました。

中国と時代背景

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